
Entry No.9
最小侵襲、最大効果
<治療の概要>
上顎前歯の審美障害を治療した患者さんです。
歯周病により、病的移動した歯を審美的に治療しました。
リンガルアーチを用いた部分矯正でできるだけ移動してしまった歯を
元の位置に戻しました。
右上2は歯周病も重度であったため、オールセラミッククラウンにて
補綴をしました。
<患者さんの希望>
・右上2と左上3の歯が歯列から逸脱しているのを治したい。
・上顎両側中切歯の補綴(メタルボンドクラウン)はそのままでよい。
・矯正治療はしても良いが、目立つ装置はいやだ。
<問題点>
・右上2は重度歯周病で動揺を認め、病的移動にて、挺出、唇側傾斜を
きたしていた。
・左上3は病的移動にて唇側転位して、いわゆる八重歯であった。
・上顎両側中切歯のメタルボンドはポーセレン部が破折していた。
・全顎的に中等度の歯周炎を認めました。
<治療の提案>
1.前歯部において理想的な治療です。
上顎両側中切歯のメタルボンドを除去して仮歯に換えます。
マルチブラケットによる矯正治療を行い、右上2や左上3を初め
とする歯列の乱れを治します。
ホワイトニング後、右上1,2、左上1は審美補綴を行います。
2.上顎両側中切歯のメタルボンドはそのままの治療提案です。
リンガルアーチにて動かせる範囲で右上2、左上2,3の乱れを
治療します。
ホワイトニング後、右上2は審美補綴、左上3は形態修正をします。
今夏には最小限の治療を希望されたため、2で行いました。
<実際の治療の流れ>
1.リンガルアーチをつけるためのバンドを試適して印象と採りました。
フックと弾線をそれぞれつけたリンガルアーチをSTロックで固定
し、エラスティックゴムと弾線で活性しました。
2.右上2は内方に移動すると当たり出すため、神経を取り削りました。
右上に幅径を大きくするのと同時に右上3,4間の隙間を埋めました。
3.矯正治療の動的期間は3か月でした。
4.上下顎にデュアルホワイトニングを行いました。
5.右上2はオールセラミッククラウンを接着しました。
6.左上3は歯冠形態修正を行いました。